出生数67万人・出生率1.14で過去最低 2031年に18歳となる世代の約3分の2に、若年人材の急減に企業はどう備えるか
厚生労働省が9月30日に公表した2025年の人口動態統計(確定数)で、出生数は67万1270人と10年連続で過去最少、合計特殊出生率は1.14と過去最低になりました。2031年に18歳を迎える2013年生まれは約103万人で、2025年生まれはその約65%にとどまります。若年人材と国内市場の5年先、さらにその先の急減を見据えた備えを、シナリオで示します。
まず、これだけ押さえたい
- 2025年の出生数は67万1270人で10年連続の過去最少、合計特殊出生率は1.14で過去最低でした(9月30日公表の確定数)。
- 一方で減少率は2.2%と近年より緩やかになり、婚姻件数は4066組増えました。
- 2031年に18歳となる2013年生まれは約103万人。2025年生まれはその約65%で、2030年代半ば以降に若年人材の減少が本格化します。
- 今後5年は、若年人材と国内の子ども・子育て市場の縮小に備える準備期間と位置づけられます。
経営への示唆編集部の分析
出生数の減少は、18〜22年後の新卒市場の規模をほぼ確定させます。2031年までは新卒の数が急減するわけではありませんが、その先の減少は避けられません。採用を新卒中心に組み立てている企業は、中途採用・シニア・外国人材を含めた人材の調達経路の多様化と、少ない人数で回る業務設計を今から進める必要があります。また、社員が子育てと仕事を両立できる職場づくりは、少子化の流れに対して企業ができる数少ない直接の働きかけでもあります。消費財・サービス企業は、国内の子ども・子育て市場の縮小を前提に事業の重点を見直す時期に来ています。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
確定値で見た2025年の出生
厚生労働省は2026年9月30日、2025年の人口動態統計(確定数)を公表しました。日本で生まれた日本人の出生数は67万1270人で、前年より1万4903人少なく、1899年の調査開始以来の最少を10年連続で更新しました。合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数に相当する指標)は1.14で、10年連続で低下し過去最低です。
一方で、変化の兆しもあります。出生数の減少率は2.2%で、5%台の減少が続いていた近年より緩やかになりました。30〜34歳の母親による出生数は前年より増え、婚姻件数も48万9158組と前年より4066組増えています。死亡数は158万9533人で、出生数との差である自然減は91万8263人と19年連続のマイナスでした。
「18年後の新卒」はすでに決まっている
同じ統計の年次推移を見ると、出生数は2013年に102万9817人、2016年に97万7242人と初めて100万人を割り、2025年は67万人台まで減りました。2031年に18歳を迎えるのは2013年生まれで、2025年生まれの規模はその約65%にあたります。死亡や国際移動を考えなければ、高校・大学の新卒として労働市場に入る若者の数は、2030年代半ば以降に一段と減っていくことが、今の時点でほぼ見えています。
総務省統計局によると、2026年9月時点の15歳未満人口は1313万人で、総人口の10.7%です。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、総人口は2030年に1億2012万人まで減る見込みです。今後5年は、若年人材の減少が本格化する前の「準備期間」と位置づけられます。
今後どうなるか
以下は事実ではなく、確定値と公的推計を前提にした見通しです。確率は示しません。
基本シナリオ(緩やかな減少が続く):出生数は減少のペースが落ちつつも減り続けます。2031年時点の18歳の人数は2013年生まれの規模(約100万人)に近く、新卒の数が急に減るわけではありません。ただし、企業の間では2030年代半ば以降の若年人材の急減を前提にした採用・育成計画への切り替えが進みます。子ども・子育て向けの国内市場は縮小を続け、関連企業は高付加価値化や海外展開、シニア向けへの事業転換を急ぎます。
上振れシナリオ(婚姻と出生の下げ止まり):2025年に見られた婚姻件数の増加と減少率の縮小が続き、出生数が2020年代後半に下げ止まりに近づきます。子育てと仕事の両立支援が企業にも広がり、30代の出生が増える流れが強まります。それでも過去の少子化の影響で、2030年代の若年人口の減少そのものは避けられません。
下振れシナリオ(減少の再加速):物価高や将来不安で婚姻・出産を先送りする動きが強まり、出生数の減少率が再び大きくなります。地方では小中学校の統廃合や子ども向けサービスの撤退が加速し、子育て世帯の流出が地域の働き手の減少にもつながります。
予測対象期間
2026年11月〜2031年10月
変化を見極める指標
- 出生数・婚姻件数(厚生労働省・人口動態統計の月報と年報)
- 合計特殊出生率(同、年次の確定数)
- 15歳未満人口と18歳人口(総務省・人口推計、文部科学省・学校基本調査)
- 新卒の求人倍率(大卒求人倍率調査、高卒の求人・求職状況)
- 国内の子ども・子育て関連市場の動向(出荷額、店舗数など)
前提条件
- 出生数の大幅な反転は短期には起きず、緩やかな減少傾向が続く。
- 18歳人口の規模は、おおむね18年前の出生数の規模に沿って推移する(死亡や国際移動による増減は小さいとみなす)。
- 国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年推計)の方向性が大きく外れない。
- 外国人の受け入れ拡大などにより若年人口の構成が急変することはない。
不確実性(見通しが変わる条件)
18歳人口は出生数からかなりの精度で見通せますが、外国籍の若者の増加や国際移動によって実際の人数は変わります。出生数は婚姻の動向や経済情勢、子育て支援策の効果に左右され、5年先でも幅をもって見る必要があります。本稿で示した「約65%」は2013年と2025年の出生数の比較で、18歳人口そのものの推計ではありません。
経営会議で確認したい3つのこと
- 当社の採用計画は、2030年代半ば以降に新卒の母数が大きく減ることを前提にしているか。
- 社員が子育てと仕事を両立できているか、出産・育児を理由とする離職や昇進の停滞を把握しているか。
- 国内の子ども・若年層向け市場の縮小に対して、事業の重点を見直す計画があるか。
本記事は情報提供を目的としたもので、投資・法務・税務等の個別の助言ではありません。将来の見通しは執筆時点の情報と前提に基づく分析であり、結果を保証するものではありません。具体的な判断にあたっては、専門家にご相談ください。
用語の補足(5語)
- 人口動態統計
- 厚生労働省が出生・死亡・婚姻・離婚などの届出をもとに作成する統計。速報や概数の後に、最終的な確定数が公表される。
- 合計特殊出生率
- その年の15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計した値で、1人の女性が一生の間に産む子どもの数に相当する。人口維持には約2.1が必要とされる。
- 自然減
- 一定期間の死亡数が出生数を上回り、その差によって人口が減ること。国際移動などによる増減は含まない。
- 国立社会保障・人口問題研究所
- 厚生労働省所管の研究機関。将来の人口推計や社会保障に関する調査研究を行い、政府の政策の基礎資料を提供している。
- 総務省統計局
- 国勢調査や人口推計など、国の基本的な統計を作成・公表する総務省の部局。
根拠資料・出典
一次資料
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月21日 19:00
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