サムスン、エヌビディア向け次世代HBMの「ベースダイ」にTSMCの3nmを採用と韓国紙報道
メモリの土台部分に先端ロジック工程 メーカーの垣根を越えた分業が進む
ロイター通信は10月18日、韓国紙ソウル経済新聞の報道として、サムスン電子がエヌビディアの次世代カスタムHBMの土台部分(ベースダイ)をTSMCの3nmプロセスで製造すると伝えました。エヌビディアがメモリ各社にTSMCの工程の利用を求めたとされます。公式発表ではない点に注意しつつ、HBMとベースダイの仕組みと業界の動きを解説します。
まず、これだけ押さえたい
- ロイターは韓国紙の報道として、サムスンがエヌビディアの次世代カスタムHBM(NVHBM)のベースダイをTSMCの3nmで製造すると伝えた。公式発表ではない。
- 同紙によると、エヌビディアはサムスン・SKハイニックス・マイクロンにベースダイでのTSMCプロセス利用を求め、サムスンは標準品などでは自社生産を続ける方針。
- ベースダイはHBMの積み重ねたDRAMの下にあるロジック用チップ。NVHBMはここにエヌビディアのメモリコントローラーを組み込む。
- エヌビディアは標準HBM4E比で帯域幅最大30%増、消費電力最大15%減などを主張している。
- HBMの供給は、メモリメーカーとロジック半導体の製造会社の連携に一段と左右されるようになっている。
経営への示唆編集部の分析
AIサーバーやクラウドの調達では、GPUの供給だけでなく、HBMとその製造を担う複数企業の生産能力が納期や価格を左右する構図が強まっています。特定の先端製造工程に需要が集中すると、供給の遅れが連鎖する可能性もあります。AI基盤への投資計画では、調達先や提供事業者に供給見通しを確認し、納期の幅を見込んでおくことが望まれます。ただし今回の内容は報道段階であり、正式発表を待って判断する必要があります。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
報道の内容
ロイター通信は10月18日、韓国紙ソウル経済新聞の報道として、サムスン電子がエヌビディアの次世代カスタムHBMの「ベースダイ」を、台湾TSMCの3ナノメートル(nm)プロセスで製造すると伝えました(The Star/ロイター(外部サイトが新しいタブで開きます))。同紙によると、サムスンがHBMの製造段階でTSMCと組むのは初めてです。これは報道ベースの情報で、ロイターの記事には3社のコメントは含まれていません。
同紙は業界関係者の話として、エヌビディアがサムスン、SKハイニックス、マイクロンに対し、NVHBMのベースダイにはTSMCのプロセスを、記憶を担うコアダイには第6世代のDRAM技術を使うよう求めたと伝えています。サムスンは社内で検討したうえでこの要求を受け入れ、標準のHBMや他の顧客向けのカスタム品では自社生産を続ける方針とされます。また、需要がTSMCの生産能力を上回った場合に、自社のファウンドリー(受託製造部門)でベースダイを作れるか検討しているとも報じられています。
HBMとベースダイとは
HBM(高帯域幅メモリ)は、DRAMチップを縦に積み重ね、TSV(チップを貫く微細な電極)でつないだメモリで、GPUなどのAI半導体に大量のデータを高速で送ります(サムスン電子 HBM製品ページ(外部サイトが新しいタブで開きます))。積み重ねたDRAM(コアダイ)の一番下には、制御回路などを載せたロジック用のチップがあり、これをベースダイと呼びます。サムスンの製品ページでは、同社のHBM4とHBM4Eのベースダイは4nmのロジック工程で作られています。
エヌビディアが8月26日に発表したNVHBMは、これまでAI半導体の側にあったメモリコントローラー(メモリとのデータのやり取りを管理する回路)を、HBMのベースダイに組み込む方式です(NVIDIA公式ブログ(外部サイトが新しいタブで開きます))。同社は標準のHBM4Eと比べ、帯域幅が最大30%増え、HBMの消費電力が最大15%減り、演算チップの面積を最大25%多く使えると説明しています。複数のメモリメーカーから同じ仕様で供給できる標準的な実装を整えるとしており、最初の取り組み先はアマゾン傘下のAnnapurna Labsです。
ベースダイが単なる土台から、先端のロジック回路を載せる部品に変わりつつあるため、メモリメーカーだけでなく、ロジック半導体の製造会社の役割が大きくなっています。
各社の動き
台湾の調査会社TrendForceは10月9日、韓国メディアの報道を引用し、サムスンが顧客の要望に応じて自社製とTSMC製のベースダイを使い分ける方式を検討していると伝えました(TrendForce(外部サイトが新しいタブで開きます))。同じ記事は、マイクロンがHBM4Eのベースダイ生産を外部(TSMCが有力)に移すこと、SKハイニックスがHBM4のベースダイに既にTSMCの12nmプロセスを使っていることなども、報道として紹介しています。
企業への意味
AI向けサーバーの性能や供給量は、GPUだけでなくHBMと、その製造を担う複数の企業の連携に左右されるようになっています。ベースダイの製造を特定の先端工程に頼る形が広がれば、その生産能力がHBMの供給量や時期にも影響し得ます。今回の内容は公式発表ではないため、各社の正式な発表を確認する必要があります。
経営会議で確認したいこと
- 当社のAI関連投資の計画は、GPUやHBMの供給遅れによる納期のずれをどの程度見込んでいるか。
- クラウド事業者やサーバー調達先から、半導体の供給見通しについて定期的に情報を得ているか。
用語の補足(12語)
- HBM(高帯域幅メモリ)
- DRAMチップを縦に積み重ねて接続し、大量のデータを高速でやり取りできるようにしたメモリ。AI向けの半導体に広く使われる。
- DRAM
- コンピューターの主記憶などに使われる半導体メモリ。電源を切るとデータが消える一方、高速に読み書きできる。
- ベースダイ
- HBMで積み重ねたメモリチップの一番下に置かれる、制御回路などを載せたロジック用のチップ。
- コアダイ
- HBMで縦に積み重ねられる、データの記憶を担うDRAMのチップ。一番下のベースダイの上に複数枚が重ねられる。
- TSV
- シリコン貫通電極。積み重ねた半導体チップを縦に貫く微細な電極で、チップ同士を短い距離でつなぐ。
- TSMC
- 台湾積体電路製造。他社が設計した半導体の製造を請け負う受託製造(ファウンドリー)の世界最大手で、先端工程に強みを持つ。
- ファウンドリー
- 他社が設計した半導体チップの製造を請け負う事業、またはその事業を行う企業・部門。
- 3ナノメートル(nm)
- 半導体の製造工程の世代を示す呼び方。数字が小さいほど回路が微細で、一般に性能や電力効率が高い先端の工程を指す。
- メモリコントローラー
- 演算チップとメモリの間で、データの読み書きの順番やタイミングなど、やり取りを管理する回路。
- 帯域幅
- 一定時間にやり取りできるデータの量。メモリでは、帯域幅が大きいほど演算チップに多くのデータを速く送れる。
- SKハイニックス
- 韓国の大手半導体メモリメーカー。DRAMやHBM、NAND型フラッシュメモリを製造する。
- マイクロン
- 米国の大手半導体メモリメーカー。DRAMやHBM、NAND型フラッシュメモリを製造する。
根拠資料・出典
一次情報に関する注記: サムスン電子・TSMC・エヌビディアのいずれも、ベースダイの製造委託について公式発表を確認できませんでした。中心となる情報は韓国紙ソウル経済新聞の報道をロイターが伝えたもの(The Star転載)で、ソウル経済新聞の原文記事は見つけられていません。一次資料としては、背景説明のためにNVIDIAのNVHBM発表ブログとサムスンのHBM製品ページを使っています。
一次資料
- 一次資料NVIDIA NVLink Fusion Expands With NVHBM Custom High-Bandwidth Memory
- 一次資料HBM | DRAM | Samsung Semiconductor Global
二次報道・参考
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月23日 05:30
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