インテル、米アリゾナの新工場「Fab 62」で装置の設置を開始 2028年末までに稼働へ、当初計画から約4年遅れ
データセンター向けの需要回復を受け、止まっていた米国の工場づくりが再始動。オハイオ工場も工事が前進
米インテルは2026年10月21日、アリゾナ州の新工場「Fab 62」で製造装置の設置が本格化し、2028年末までに稼働する見通しを示しました。当初は2024年稼働の計画でした。データセンター向けプロセッサーの需要の伸びが背景にあります。先端半導体の製造が台湾以外にも広がるかを占う動きとして、調達を考える企業にも意味があります。
まず、これだけ押さえたい
- インテルは10月21日、アリゾナ州の新工場Fab 62で製造装置の設置が本格化し、2028年末までに稼働する見通しを示しました。
- Fab 62は当初2024年稼働の計画で、オハイオ州の工場も2030〜31年に延期されていますが、工事は前進しています。
- データセンター向けの需要回復が背景で、どの製造技術を使うかや投資額は未公表です。
押さえておきたい数字
Fab 62の稼働見通し
2028年末まで
当初は2024年稼働の計画
基準時点: 2026年10月21日
インテルの2026年の設備投資計画
200億ドル超
7月に引き上げ。2027年はさらに増やす見通し
基準時点: 2026年7月
経営への示唆編集部の分析
インテルの工場づくりの再開は、先端半導体の製造が台湾に集中している状況が中長期で変わり得ることを示しています。稼働は早くても2028年のため、足元の部品の調達環境にはすぐには影響しません。一方、米国内の製造能力が増えれば、地政学リスクに備えた調達先の分散の選択肢が広がります。半導体を多く使う企業は、主要サプライヤーがどの地域の工場で製造しているかを把握し、中長期の調達計画に製造拠点の変化を織り込んでおくことが現実的です。製造装置や材料を供給する日本企業にとっては、米国での工場建設が受注の機会になり得ます。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
米半導体大手のインテルは2026年10月21日、米アリゾナ州で建設中の新工場「Fab 62」で製造装置の搬入・設置が本格的に始まり、2028年末までに稼働を始める見通しだと明らかにしました。インテル・ファウンドリーの最高技術・オペレーション責任者であるナガ・チャンドラセカラン氏が、同社のサイトに寄稿した文章で説明しています(インテル 寄稿(外部サイトが新しいタブで開きます))。
何が明らかになったのか
止まっていた米国での工場づくりが、再び動き出しました。 Fab 62は、アリゾナ州チャンドラーにあるオコティーヨ拠点で6番目の量産工場です。地元メディアによると、インテルがFab 62の建設の進み具合と稼働時期を公に示したのは今回が初めてです(ABC15(外部サイトが新しいタブで開きます))。
製造装置の設置は工場づくりで最も費用がかかる段階で、1台数億ドルの装置もあります。米テック媒体TNWは、データセンター向けプロセッサーの受注が生産能力を上回るペースで増えていることを背景に挙げています(TNW(外部サイトが新しいタブで開きます))。
| 工場 | 状況 |
|---|---|
| Fab 52(アリゾナ) | 2025年から最先端の「Intel 18A」で量産中 |
| Fab 62(アリゾナ) | 装置の設置が進行中、2028年末までに稼働予定 |
| オハイオ州の第1工場 | 最初の大型の屋根トラスを設置、稼働は2030〜31年に延期済み |
(出典:インテル 寄稿(外部サイトが新しいタブで開きます)、ABC15(外部サイトが新しいタブで開きます)、TNW(外部サイトが新しいタブで開きます))
当初の計画からは大幅に遅れた
Fab 62は2021年3月にFab 52とともに発表され、当初は2024年の稼働が見込まれていました(EE Times Japan(外部サイトが新しいタブで開きます))。オハイオ州の工場も、世界最大級の半導体拠点を目指しながら工事が滞り、昨年には稼働が2030〜31年に先送りされています。2025年3月に就任したリップブー・タンCEOは、十分な需要があるときにだけ工場建設を進める方針を示してきました(TNW(外部サイトが新しいタブで開きます))。
Fab 62でどの製造技術を使うか、生産能力や残りの投資額は明らかにされていません(EE Times Japan(外部サイトが新しいタブで開きます))。
何を意味するのか
米国内に先端半導体の製造能力を増やす動きが、需要の回復とともに再開しています。 TNWによると、インテルは7月に2026年の設備投資計画を200億ドル超に引き上げ、2027年はさらに大きく増やす見通しを示しています。米政府も同社に出資しています(TNW(外部サイトが新しいタブで開きます))。
企業にとっての意味
稼働は早くても2028年で、足元の半導体不足を和らげるものではありません。ただ、台湾に集中する先端半導体の製造が米国にも広がれば、中長期の調達先の選択肢が増えます。
編集部は、インテルが外部企業からの製造受託を本格的に獲得できるかどうかが、Fab 62の稼働の前倒しや投資規模を左右するとみています。
経営会議で確認したい3つのこと
- 当社が使う先端半導体は、どの国・地域の工場で製造されているか把握できているか。
- 米国での半導体製造の拡大を、調達先の分散計画にどう織り込むか検討しているか。
- 当社の装置・材料・部品は、米国の新工場の立ち上げ需要を取り込めるか。
用語の補足(3語)
- ファウンドリー
- 他社が設計した半導体の製造を請け負う事業。台湾のTSMCが最大手で、インテルも外部からの受託を拡大しようとしている。
- Intel 18A
- インテルの最先端の半導体製造技術の名称。新しい構造のトランジスタと、裏面から電力を供給する技術を採用している。
- 量産工場(ファブ)
- 半導体を大量生産する工場。建屋の完成後、高価な製造装置を設置して試運転を経て稼働する。
根拠資料・出典
一次資料
二次報道・参考
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月31日 12:00
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