NECの委託先が攻撃され、顧客のシステム停止と情報漏えい 大阪公立大・大阪大が影響を公表
盗まれたのは「正規のアカウント」――委託・再委託の先まで管理が届いているか
NECは10月20日、システム開発・保守の委託先が9月下旬にサイバー攻撃を受け、盗まれた正規アカウントで顧客のシステムに不正アクセスされたと公表しました。サーバー内のファイルが暗号化され、共有用クラウドストレージからも情報が漏えいしています。翌21日には大阪公立大学と大阪大学が影響を公表しました。委託先・再委託先の管理が、委託元の被害に直結することを示す事案です。
まず、これだけ押さえたい
- NECの委託先が9月下旬に攻撃され、盗まれた正規アカウントで顧客のシステムが暗号化され、共有用クラウドストレージから情報が漏えいしました。
- 大阪公立大学は10月2日からの障害の原因が本件と公表し、大阪大学は77,851人分の個人情報の漏えいを公表しました。
- 大阪大学の事案では、報告されていない協力会社の関与と契約外のファイル共有が判明しており、再委託先まで含めた管理が問われています。
押さえておきたい数字
大阪大学の漏えい人数
77,851人
卒業生59,014人・在学生15,035人・教職員3,802人(重複除く)
基準時点: 2026年10月21日公表
経営への示唆編集部の分析
システムの保守を外部に任せている企業にとって、委託先の侵害は自社の侵害と同じ結果を招き得ます。今回は本物のアカウントが使われたため、委託先が持つアクセス権の範囲そのものが被害の範囲になりました。委託契約で再委託の事前承認、アカウントの管理方法、共有データの保管場所と削除期限を定め、実際に守られているかを定期的に確かめることが、委託元の経営課題になっています。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
何が起きたのか
NECの委託先への攻撃が、NECの顧客である複数の組織の被害につながりました。 NECの10月20日の公表によると、同社がシステム開発・保守を委託している企業が9月下旬にサイバー攻撃を受け、そこで盗まれた正規アカウント(本来の作業者に発行された本物のIDとパスワード)が悪用されました(NEC(外部サイトが新しいタブで開きます))。
被害は2種類あります。1つは、委託先の端末から正規アカウントで顧客のシステムに入られ、サーバー内のファイルが暗号化されて各種システムが使えなくなったことです。もう1つは、NECが顧客や委託先との情報共有に使っていたクラウドストレージのファイルが漏えいし、顧客の個人情報やシステム関連情報が含まれていたことです。NECは委託先の社名や影響を受けた顧客の数を公表していません。
大学側は何を公表したか
大阪公立大学は、10月2日から続いたシステム障害の原因が本件だったと明らかにしました。 10月21日の第5報によると、同大は基盤システムの保守・運用をNECに委託しており、NECの再委託先が保有する正規アカウントで不正アクセスされました。NECのクラウドストレージから大学関連の個人情報とシステム関連情報が漏えいしたことも確認されましたが、内容と件数はNECに確認中としています(大阪公立大学(外部サイトが新しいタブで開きます))。
大阪大学は同じ21日、77,851人分の個人情報が漏えいしたと公表しました。 内訳は卒業生59,014人、在学生15,035人、教職員3,802人で、氏名や大学のID、メールアドレス、学籍番号・職員番号などが含まれます。同大によると、大学に報告されていない協力会社が業務に関わり、NECが契約に基づかずにクラウドストレージでファイルを共有し、作業後に消すべきファイルを残していたことが判明しました。大学のシステムへの不正アクセスの痕跡は確認されていないとしています(大阪大学(外部サイトが新しいタブで開きます))。
経営者が読み取るべきこと
「正規のアカウント」による侵入は、通常の保守作業と見分けにくい点が厄介です。 解説記事も、正しい認証情報と通常の接続元からのアクセスは保守作業と区別しにくいと指摘しています(一創(外部サイトが新しいタブで開きます))。委託先が多くの顧客の環境に入れる立場にあると、1社の侵害が複数の顧客に広がります。
委託元が問われること
大阪大学の事案では、大学が把握していない協力会社の関与と、契約外のファイル共有・保持が問題になりました。自社のデータが「誰の手元に、どこに、いつまで」あるかを、再委託先まで含めて説明できるかが問われます。
編集部は、今回の事案を「委託先の安全対策」だけでなく「委託元がどこまで把握しているか」の問題と考えます。保守用アカウントの棚卸し、接続元の端末の限定、共有ストレージに置くデータの最小化と期限付きの削除は、委託元の側から契約と運用で求められる対策です。
経営会議で確認したい3つのこと
- 自社のシステムに保守用のアカウントでアクセスできる委託先・再委託先を、すべて把握しているか。
- 委託先との情報共有に使うクラウドストレージに、個人情報やシステム構成情報が作業後も残っていないか。
- 委託契約に、再委託の事前承認と、事故時の報告期限が定められているか。
用語の補足(3語)
- 正規アカウント
- 本来の利用者に正式に発行されたIDとパスワード。盗まれて使われると、通常の利用と見分けにくくなります。
- 再委託
- 業務を受託した会社が、その一部をさらに別の会社に任せること。委託元から見えにくい関係者が増えます。
- ランサムウェア
- データを暗号化して使えなくし、復旧と引き換えに金銭を要求する不正プログラム。
根拠資料・出典
一次資料
二次報道・参考
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月28日 12:00
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