国内で大量の個人情報漏えいが続く JPCERT/CCが10月23日に注意喚起を更新、企業が点検すべき「社内向けシステム」
狙われているのは顧客向けアプリだけではない――管理ツールや分析ツールも入口に
9月前後から国内で不正アクセスによる大量の個人情報漏えいが相次ぎ、10月19日にもニフティ(最大約54万件)などが公表しました。JPCERT/CCは10月23日に注意喚起を更新し、顧客向けのサービスだけでなく、従業員向けの管理システムや分析ツールも被害に遭っていると指摘しています。公的機関の点検項目を手がかりに、企業が確かめるべき点を整理します。
まず、これだけ押さえたい
- 9月前後から国内で大量の個人情報漏えいが相次ぎ、10月19日にもニフティ(最大54万2,513件の可能性)などが公表しました。
- JPCERT/CCは10月23日に注意喚起を更新し、社内向けの管理システムや分析ツールも被害に遭っていると指摘しています。
- IPAは外部公開アプリ、利用中の外部サービス、保有データの3点の点検と、経営者主導の対策を求めています。
押さえておきたい数字
ニフティの漏えいの可能性
最大54万2,513件
2019年以降の回線申込者(Webサイトからの申込を除く)
基準時点: 2026年10月19日公表
クリプトンの会員情報の漏えい
36万2,137件
10月19日の初報では最大約42万件の可能性としていた
基準時点: 2026年10月22日更新
経営への示唆編集部の分析
一連の漏えいは、顧客向けサービスに限らず、社内用の管理ツールや分析ツールから起きています。こうしたシステムは担当部署が個別に導入していることも多く、全体像を情報システム部門が把握していない場合があります。インターネットからつながり、個人情報に届くシステムを全社で洗い出し、ログの保存期間とアカウントの棚卸しを確認することが、経営として指示できる最初の一歩です。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
いま何が起きているのか
不正アクセスによる大量の個人情報漏えいが、業種を問わず続いています。 JPCERT/CC(国内の情報セキュリティ事故への対応を調整する組織)は10月8日に注意喚起を出し、10月23日に新たな事例の類型を加えて更新しました。それによると、2026年9月前後から国内組織で漏えい被害が相次いでいますが、技術的な情報の共有は不足しています(JPCERT/CC(外部サイトが新しいタブで開きます))。
10月18日以降も公表は続いています。ニフティは10月19日、回線の申込・受付を管理する社内用ツールへの不正アクセスを確認し、2019年以降の申込者の氏名・住所・電話番号など最大54万2,513件が漏えいした可能性があると公表しました。口座やクレジットカードの情報はこのシステムに持っていないとしています(ニフティ(外部サイトが新しいタブで開きます))。
音声素材の販売サイトを運営するクリプトン・フューチャー・メディアは10月17日夜に不正アクセスを確認してサーバーを止め、22日の更新で会員36万2,137件の氏名・メールアドレスなどの漏えいを明らかにしました。パスワードは元に戻せない形式で保存されていたものの、全利用者のパスワードを無効にしています(クリプトン・フューチャー・メディア(外部サイトが新しいタブで開きます))。
何が狙われているのか
顧客向けのアプリだけでなく、社内向けのシステムも入口になっています。 JPCERT/CCは、被害は一般利用者向けアプリに限らず、データ分析用のBIツールや従業員向けの管理システムなど、不特定多数の利用を想定していないシステムにも及んでいるとしています。観測された主な類型は次のとおりです。
| 類型 | 概要 |
|---|---|
| 既知の脆弱性や設定の不備 | 更新されていない部品や、管理の甘い設定ファイルが狙われる |
| スマホアプリ経由のAPI悪用 | 公開アプリの解析から、裏側の仕組みに不正に操作される |
| 自動化ツールによる探索 | 10月23日の更新で追加。AIを使った検査ツールで弱点を自動的に探す |
なお、すべてが同じ手口ではないとJPCERT/CCは注意しています。
公的機関は何を求めているか
国も経営層に向けて対策の徹底を呼びかけています。 国家サイバー統括室は10月14日、統括室、警察庁、個人情報保護委員会、金融庁、総務省、経済産業省、IPAなどの注意喚起を一覧にまとめました(国家サイバー統括室(外部サイトが新しいタブで開きます))。
その1つであるIPAの10月9日の文書は、点検の柱として「外部公開アプリケーションの精査」「利用している外部サービスの洗い出し」「保有データの再点検」を挙げています。ログは直近1カ月から3カ月へと段階的にさかのぼること、覚えのないアカウントや無効のはずのアカウントがないかを見ること、不要な情報は持たないことを求めています。経営者には、サイバーリスクを重要な経営課題と認識し、委託先を含むサプライチェーン全体に目を配るよう求めています(IPA(外部サイトが新しいタブで開きます))。
見落としやすい点
社内向けの管理ツールや分析ツールは「外から使われない」と思われがちですが、インターネットからつながる状態なら点検の対象です。
編集部は、今回の一連の事案から、守るべき範囲を「顧客が使う画面」ではなく「個人情報に届くすべての仕組み」として捉え直す必要があると考えます。
経営会議で確認したい3つのこと
- 個人情報にアクセスできる社内向けの管理ツールや分析ツールのうち、インターネットからつながるものを全社で把握しているか。
- 不正アクセスに気づくためのログを、少なくとも数カ月分さかのぼって確認できる状態にあるか。
- 利用目的を終えた個人情報を削除するルールがあり、実際に運用されているか。
用語の補足(3語)
- JPCERT/CC
- JPCERTコーディネーションセンター。国内の情報セキュリティ事故の報告を受け、対応の調整や注意喚起を行う組織。
- API
- システム同士がデータをやり取りするための窓口。スマートフォンアプリの裏側で使われ、守りが甘いと不正な操作の入口になります。
- BIツール
- 社内のデータを集計・可視化して経営判断に使うためのツール。多くのデータにアクセスできる権限を持つことがあります。
根拠資料・出典
一次資料
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月27日 18:00
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