オンライン本人確認は「ICチップ読み取り」へ PayPayが免許証撮影を廃止、2027年4月の規則改正で何が変わるか
画像送信方式の廃止を前倒しする動きと、企業が確認すべき点
PayPayは10月23日、免許証やマイナンバーカードを撮影して送る本人確認を11月上旬までに廃止し、ICチップの読み取りに統一すると発表しました。2027年4月1日施行の犯罪収益移転防止法施行規則の改正で、オンラインの本人確認は原則ICチップ方式になります。免許証画像の漏えいが相次ぎ、金融庁も前倒しを求めています。
まず、これだけ押さえたい
- PayPayは10月23日、本人確認書類の撮影による申請を11月上旬までに廃止し、ICチップ読み取りに統一すると発表しました。
- 2027年4月1日施行の犯収法施行規則改正で、オンライン本人確認の画像送信方式は廃止され、ICチップ読み取りが原則になります。
- 免許証画像の漏えいが相次ぐなか、金融庁は10月9日に施行前の前倒し対応を求めており、委託先を含めた点検が必要です。
押さえておきたい数字
犯収法施行規則改正の施行日
2027年4月1日
画像送信方式を廃止しICチップ読み取りを原則化
基準時点: 2026年10月9日
PayPayのeKYC完了者
4,400万人超
2026年9月時点
基準時点: 2026年9月
経営への示唆編集部の分析
本人確認書類の画像は、漏えいすれば第三者のなりすましに使われる「危険な資産」になりつつあります。2027年4月の規則改正を待たずに大手決済事業者が方式を切り替えたことで、利用者の側もICチップ方式に慣れていきます。本人確認を行う事業者は、委託先のeKYCサービスの対応時期、ICチップを読めない利用者への代わりの手段、過去に集めた書類画像の保管方針の3点を早めに決めておくことが重要です。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
オンラインで口座開設やサービス登録をする際の本人確認(eKYC)が、書類の「撮影」から「ICチップの読み取り」へ切り替わり始めました。きっかけは、2027年4月の規則改正と、本人確認書類の画像の漏えいが相次いでいることです。
PayPayは何を変えるのか
PayPayは2026年10月23日、マイナンバーカード・運転免許証・運転経歴証明書を撮影して申請する方法を2026年11月上旬までに廃止し、ICチップを読み取る方法に統一すると発表しました。理由として、サイバー攻撃で運転免許証の画像を含む個人情報が漏えいする事案が起き、画像を悪用したなりすましのリスクが高まっていることを挙げています。同社のeKYCを済ませた利用者は2026年9月時点で4,400万人を超えます(PayPay(外部サイトが新しいタブで開きます))。
10月20日に始まったJR東日本のコード決済「teppay」も、本人確認書類をマイナンバーカードに限り、ICチップ内の電子証明書を使う方式を採用しています(ITmedia NEWS(外部サイトが新しいタブで開きます))。
2027年4月に何が変わるのか
結論から言うと、オンラインの本人確認で「書類の画像を送ってもらう方法」が原則として使えなくなります。
- 金融庁によると、2027年4月1日施行の犯罪収益移転防止法施行規則の改正で、本人確認書類の画像の送信を受ける方法は廃止され、ICチップ情報の読み取りに原則一本化されます(金融庁(外部サイトが新しいタブで開きます))
- 警察庁も、2027年4月1日から口座開設などの本人確認でマイナンバーカードなどのICチップ情報の読み取りなどが必要になると案内しています(警察庁 JAFIC(外部サイトが新しいタブで開きます))
- 施行前に廃止対象の方法で本人確認を済ませた口座について、施行後にやり直す必要はないとの考え方が警察庁のQ&Aで示されています(警察庁 Q&A(外部サイトが新しいタブで開きます))
金融庁はなぜ前倒しを求めたのか
金融庁は10月9日、金融機関などに対し、施行日を待たずできるだけ早くICチップ方式に移るよう求めました。あわせて、移行までの間は書類画像と顔画像に不自然な点がないかの確認を徹底すること、委託先経由のリスク管理やインシデント対応態勢を点検することも要請しています(金融庁(外部サイトが新しいタブで開きます))。
企業が確認すべき点
対象は銀行や決済事業者だけではありません。犯罪収益移転防止法の本人確認義務を負う事業者(不動産業など。業界団体も改正への対応を会員に案内しています(全日本不動産協会(外部サイトが新しいタブで開きます)))や、本人確認を外部のeKYCサービスに委託している企業も、方式の変更が必要になる可能性があります。
押さえておきたいこと
ICチップの読み取りにはNFC対応のスマートフォンが必要で、マイナンバーカードなどを持たない利用者への代わりの手段も考えておく必要があります。
一方、本人確認書類の画像を保管している企業にとっては、漏えい時の被害を減らすため、保管の要否や期間を見直す機会にもなります。なお、Android端末へのマイナンバーカード機能の搭載は別の記事で扱っています。
経営会議で確認したい3つのこと
- 当社(または委託先)の本人確認は、2027年4月以降も使える方式になっているか。切り替えの時期はいつか。
- 過去に受け取った本人確認書類の画像を、どこに・いつまで保管しているか。保管し続ける必要はあるか。
- マイナンバーカードやNFC対応スマートフォンを持たない顧客に、どのような本人確認手段を用意するか。
用語の補足(4語)
- eKYC
- オンラインで完結する本人確認。スマートフォンで書類を撮影する方法や、ICチップを読み取る方法がある。
- 犯罪収益移転防止法
- マネー・ローンダリングを防ぐため、金融機関などに取引時の本人確認や疑わしい取引の届け出を義務付ける法律。
- ICチップ読み取り
- マイナンバーカードや運転免許証に埋め込まれたチップの情報を、NFC対応のスマートフォンなどで読み取る方法。偽造が難しい。
- 公的個人認証
- マイナンバーカードのICチップに入っている電子証明書を使い、本人であることをオンラインで確かめる仕組み。
根拠資料・出典
一次資料
- 一次資料本人確認(eKYC)におけるマイナンバーカード、運転免許証または運転経歴証明書の撮影による申請の廃止、ICチップ読み取り方式への統一について
- 一次資料現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化と各種取引申込等における対応について
- 一次資料JAFIC トップページ
- 一次資料犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の改正に係るQ&A
二次報道・参考
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月29日 18:00
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