解説地政学と国際政治

米中間選挙で民主党が上下両院を制した 議会で変わること、変わらないこと

上院は7議席を奪取、下院は1993年以来の規模の見通し。調査と人事の承認は変わり、関税と拒否権は残る

11月3日の米中間選挙で、米主要メディアは民主党が上院と下院の両方で多数を取ると予測しました。1月3日に始まる新しい議会では、政権への調査と人事の承認が大きく変わります。一方、関税は大統領の権限で課されており、大統領の拒否権もあるため、議会の多数だけでは止めにくい状況が続きます。

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BSAC5編集部
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まず、これだけ押さえたい

  • 米主要メディアの予測では、民主党が上院で共和党の7議席を奪い、下院でも少なくとも258議席を得る見通しです。上院の2州と下院のおよそ75選挙区は未確定です。
  • 1月3日からの新しい議会では、政権への調査と、上院での人事の承認が最も早く変わるとみられます。
  • 関税は301条で大統領側が課しており、拒否権を覆すには3分の2が必要です。議会の多数だけで関税が止まるとは見込みにくい状況です。

押さえておきたい数字

経営への示唆編集部の分析

選挙結果で米国の政策がすぐに反転するわけではありません。関税は大統領側の権限で続き、品目ごとの税率と根拠の確認はこれまでどおり必要です。変わるのは、議会が政権と企業を調べる力と、人事への関与です。米政権と関わる案件や対米投資の案件を持つ企業は、意思決定の経緯を説明できる記録を整えておくことが、もっとも現実的な備えになります。

この記事の目次
誰もいない議会の公聴会室。長い木の机にマイクと白紙の資料、バインダーが並び、新しい会期の始まりを待っているイメージ

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません

この記事は日本時間11月4日夕方時点の報道に基づきます。結果は米報道機関の予測で、州による公式の確定はこれからです。

選挙の結果はどうなったのか

民主党が上院と下院の両方で多数を取る見通しです。 CBSニュースは米東部時間3日夜、民主党が下院と上院の多数を取ると予測しました(CBS News(外部サイトが新しいタブで開きます))。

上院では、民主党が共和党の7議席を奪いました。ノースカロライナ、サウスカロライナ、テキサス、オハイオ、カンザス、アイオワ、メーンの7州です。アラスカとミシシッピの2州はまだ決着していません(CBS News 上院(外部サイトが新しいタブで開きます))。選挙前の上院は共和党53、民主党47でした(Fox News(外部サイトが新しいタブで開きます))。

下院では、NBCニュースが民主党の議席を少なくとも258と見込み、1993年以来の多さだと伝えました。この数字は数議席動く可能性があります(NBC News(外部サイトが新しいタブで開きます))。CBSによれば、4日未明の時点でおよそ75の選挙区が未確定でした。

1月から議会で何が変わるのか

変化が最も早く出るのは、政権への調査と、上院での人事の承認です。 新しい議員の任期は1月3日正午に始まります(米国憲法修正条項(外部サイトが新しいタブで開きます))。多数党は各委員会の委員長を握るため、公聴会や資料の提出要求を自ら決められるようになります。

その方向を示す発言も出ています。下院監視委員会の委員長に就く見通しのロバート・ガルシア議員は共和党側に「弁護士を用意しておけ」と述べ、上院のワイデン議員は「召喚状」と一言だけ投稿しました(NBC News(外部サイトが新しいタブで開きます))。

上院は閣僚や連邦準備制度理事会(FRB)の理事などの人事を承認する権限を持ちます。上院の多数が民主党に移ると、政権の人事が通りにくくなる可能性があります。

関税はなぜ議会の多数だけでは止まらないのか

関税は議会の採決なしに大統領が課せる仕組みになっているうえ、大統領は拒否権を使えるためです。 最高裁が緊急権限による関税を認めなかった後、政権は通商法301条に根拠を移しました。この条文は議会の採決なしに大統領側が関税を課せます(Euronews(外部サイトが新しいタブで開きます))。日本の製品にも、7月24日から301条で通常の関税込み12.5%がかかっています(米官報(外部サイトが新しいタブで開きます))。

民主党全国委員会のマーティン委員長は、議会を取ればまず関税の撤回に動くべきだと述べていました(The Hill(外部サイトが新しいタブで開きます))。しかし、トランプ大統領は選挙後、民主党と協力するとしつつ、通った法案には拒否権を使うと述べています(CBS News(外部サイトが新しいタブで開きます))。

拒否権を覆すには、両院それぞれで3分の2の賛成が必要です(米国憲法(外部サイトが新しいタブで開きます))。上院なら67議席にあたり(編集部計算)、民主党の議席は届きません。共和党議員の一部が賛成しない限り、関税を法律で止めるのは難しいとみられます。

1月までの間に何が起きるのか

1月3日までは、選挙前の議員で構成される今の議会が続きます。 この期間をレームダック会期と呼びます。今のつなぎ予算は12月11日に切れるため、まずこの期限が最初の山場になります(Holland & Knight(外部サイトが新しいタブで開きます))。

編集部は、日本企業にとっての当面の論点を次の2つとみています。 一つは、議会の調査が政権と関係の深い案件に向かう可能性です。もう一つは、日本を含むアジアの国々が関税を避けるために約束した対米投資の扱いです。ロイターは、一部のアジアの国々がこうした投資の約束の実行を遅らせる可能性があるとのアナリストの見方を伝えました(Reuters(WHTC転載)(外部サイトが新しいタブで開きます))。日本の5500億ドルの対米投融資について、具体的な影響を伝えた報道は確認できていません。

経営会議で確認したい3つのこと

  1. 対米投資や米政権と関わる案件について、議会の調査や報道で問われた場合に意思決定の経緯を説明できる記録と、対応する担当者を決めているか。
  2. 主要な対米輸出品について、関税の税率と適用の根拠(301条、232条、通常の関税)を一覧にし、選挙後も変わりうる前提で価格と契約を見直しているか。
  3. 12月11日のつなぎ予算の期限と、1月3日に始まる新しい議会の委員長人事を、米国事業の担当者が追う体制になっているか。

用語の補足(6語)

中間選挙
4年の大統領任期の途中に行う連邦議会などの選挙です。下院の全議席と上院の一部が改選されます。
レームダック会期
選挙のあと、新しい議会が始まる1月3日までの会期です。落選した議員も引き続き採決に加わります。
拒否権
議会が通した法案を大統領が拒める権限です。覆すには両院それぞれで3分の2の賛成が必要です。
召喚状
議会の委員会が、証言や資料の提出を強制的に求める文書です。多数党が委員長を握ると出しやすくなります。
通商法301条
外国の不公正な慣行に対し、米通商代表部が調査のうえ関税などの措置をとれる法律の条文です。
つなぎ予算
本予算が成立するまで、政府の活動を暫定的に続けるための法律です。切れると政府機関の一部が閉鎖される可能性があります。
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  • 拒否権
  • 米国
  • 米議会
  • 議会の調査
  • 通商法301条
  • 関税

根拠資料・出典

一次資料

二次報道・参考

訂正履歴

訂正はありません。最終更新: 2026年11月5日 00:05

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