最低賃金は全国平均1,177円に 10月から12月にかけて順次発効、企業が確認すべきこと
引き上げ額は54〜65円、33府県が国の目安を上回る。発効日が地域で違う点に注意
2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均で56円上がり1,177円になります。引き上げ額は目安制度の開始以降2番目の大きさで、33府県が国の目安を上回りました。発効は10月1日から12月2日まで都道府県ごとに異なります。仕組みと、企業が今確認すべき点を解説します。

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
3分で分かる要点
- 2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円(56円増)。目安制度開始以降2番目の引き上げ幅。
- 最高は東京都1,280円、最低は宮崎県1,085円。33府県が国の目安を上回った。
- 発効は10月1日〜12月2日に都道府県ごとに順次。事業所ごとに額と発効日を確認する必要がある。
- 業務改善助成金の申請期限は、発効日の前日か11月30日の早い方。
- 政府の1,500円目標までは323円。継続的な引き上げを前提にした人件費計画が必要。
経営への示唆
最低賃金は毎年大きく上がる時代に入っており、「発効直前に該当者だけ時給を直す」対応では、賃金体系のゆがみと採用競争力の低下を招きます。最低賃金の引き上げを前提に、賃金表、価格設定、省力化投資を一体で計画することが求められます。複数地域に拠点がある企業は、拠点別の発効日と額を一覧にし、給与システムの設定漏れを防ぐことが実務上の第一歩です。
今年の改定のポイント
地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められ、パート・アルバイトを含むすべての労働者に適用される賃金の下限(時給)です。厚生労働省によると、2026年度の改定額は47都道府県すべてで答申され、引き上げ額は54〜65円、全国加重平均は1,177円(前年度1,121円)となりました。56円の引き上げは、目安制度が始まった1978年度以降で2番目の大きさです。最高は東京都の1,280円、最低は宮崎県の1,085円で、最低額は最高額の84.8%(前年度83.4%)と地域差は縮まりました(厚生労働省 9月3日(外部サイトが新しいタブで開きます))。
「目安」を上回った県が多い
改定額は、国の中央最低賃金審議会が示す目安(地域をA・B・Cの3ランクに分けた引き上げ額の参考値)をもとに、各都道府県の審議会が決めます。今年の目安は7月28日に示され、Aランク54円、B・Cランク56円でした。労働政策研究・研修機構の整理によると、目安どおりは14都道府県、目安を上回ったのは33府県で、最も上回ったのは佐賀県(65円、目安より9円多い)でした(JILPT(外部サイトが新しいタブで開きます))。人材の流出を防ぎたい地方で、目安以上に引き上げる動きが目立ちます。
発効日は地域で違う
新しい最低賃金は、10月1日から12月2日までの間に都道府県ごとに順次発効します(厚生労働省(外部サイトが新しいタブで開きます))。JILPTによると、10月中の発効は37都道府県で、今年はすべての都道府県が年内に発効する予定です。複数の都道府県に事業所がある企業は、事業所ごとに適用される額と発効日が違う点に注意が必要です。
企業が確認すべきこと
- 全従業員の時間額を確認する:月給制の人も時間当たりに換算して比べます。最低賃金を下回る人がいないか、発効日前に確認します。
- 周辺の賃金とのバランス:最低賃金近くで働く人だけ上げると、少し上の層との差が縮まります。賃金表全体の見直しが必要か検討します。
- 価格への反映:人件費の増加分を取引価格にどう反映するか、取引先との協議に備えます。
- 助成金の期限:設備投資などで生産性を高め、事業場内の最低賃金を引き上げる中小企業向けの業務改善助成金は、2026年度の申請期間が9月1日から、地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日のいずれか早い日までです(厚生労働省 業務改善助成金(外部サイトが新しいタブで開きます))。発効日が早い地域ではすでに締め切られている可能性があるため、管轄の労働局で確認してください。
1,500円目標との距離
JILPTによると、公益委員は、2020年代に全国平均1,500円を目指し、遅くとも2030年代前半のできる限り早期に達成するという政府方針を踏まえて審議したと説明しています。1,177円から1,500円までは、あと323円です。日本商工会議所は今回の結果を「厳しい結果」と受け止め、全国商工会連合会は小規模事業者の経営への影響に懸念を示しました(JILPT(外部サイトが新しいタブで開きます))。来年以降も大きな引き上げが続く前提で、人件費計画を立てておくことが現実的です。
明日の経営会議で問うべき3つのこと
- 当社の各事業所で、新しい最低賃金を下回る、またはぎりぎりの従業員は何人いるか。
- 最低賃金が毎年50〜60円程度上がり続けた場合、3年後の人件費はどれだけ増えるか。
- 人件費の上昇分を、取引先への価格改定や業務の省力化でどう吸収するか。
根拠資料・出典
一次資料
二次報道・参考
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月20日 08:00
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