NTT、既存システムの設計書・コード・テストのずれをAIで洗い出す技術 改修・保守にも生成AIを使いやすく
試験では設計書に仕込んだ誤り41件のうち8割を検出、未知の不具合も3件発見
NTTは10月23日、長年の改修で食い違いが生じた既存システムの設計書・コード・テストの関係を分析し、矛盾や漏れを見つけてテストを補う技術を確立したと発表しました。ソフトウェア開発の約6割は既存システムの改修・保守で、生成AIを新規開発だけでなく「古いシステムの面倒を見る」仕事にも使えるようにする狙いです。
まず、これだけ押さえたい
- NTTは10月23日、既存システムの設計書・コード・テストの食い違いを分析し、不足するテストを補う技術を発表しました。
- ソフトウェア開発の約6割は改修・保守で、生成AIを既存システムにも使いやすくする狙いです。
- サンプルアプリの試験で設計書の誤りの80%を検出しましたが、実システムでの検証や商用化の時期はこれからです。
押さえておきたい数字
改修・保守などの追加開発の比率
約6割
ソフトウェア開発全体に占める割合(2022年の業界データ)
基準時点: 2022年
設計書の誤りの検出率
80%(41件中33件)
従来手法は27%(11件)
基準時点: 2026年10月
経営への示唆編集部の分析
多くの企業で、基幹システムの保守は担当者の経験と古い設計書に頼っており、人材の高齢化とともにリスクが高まっています。生成AIで保守や刷新を効率化するには、AIに読ませる設計書やテストが正しいことが前提になります。今回の技術はまだ研究段階ですが、自社システムの設計書とコードがどの程度一致しているか、テストがどれだけ自動化されているかを把握しておくことは、AI活用の成否を左右する準備になります。
この記事の目次

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません
NTTは2026年10月23日、既存のソフトウェア資産を生成AIが理解・活用できる状態に整える技術を確立したと発表しました。人が読むことを前提にしてきた設計書やコードを、AIが読める「開発資産」に変えるという位置付けです(NTT(外部サイトが新しいタブで開きます))。
なぜ既存システムが課題なのか
生成AIの活用は新規開発が中心ですが、ソフトウェアの仕事の多くは既存システムの手直しです。 NTTは、2022年の業界データを引き、ソフトウェア開発の約6割が改修・保守・再開発などの追加開発だとしています(NTT(外部サイトが新しいタブで開きます))。
長年の改修で設計書とコードがずれ、どこを直すべきか、直した影響がどこに及ぶかを調べるのに技術者が多くの時間を使っています。テストが不十分だったり自動化されていなかったりするため、品質の確認にも手間がかかります。こうした状態では、生成AIに資料を読ませても正しい答えを引き出しにくいという問題があります。
どんな技術か
技術は2つの柱からなります(NTT(外部サイトが新しいタブで開きます))。
- 関係の分析:議事録などの開発意図、仕様書、設計書、コード、テストを機能単位に分け、上流と下流の情報を突き合わせて食い違いや抜け漏れを見つけます。
- テストの補完:品質に関する国際規格をもとに確認すべき観点を整理し、既存のテストがどこを確かめていないかを見える化したうえで、異常時の処理や境界値などの不足分を実行可能なテストとして作ります。
どのくらいの効果があったか
NTTが約3万2千行のサンプルアプリで行った試験の結果は次のとおりです(NTT(外部サイトが新しいタブで開きます))。
| 試験 | 新技術 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 設計書に仕込んだ誤り41件の検出 | 33件(80%) | 従来の検索拡張型の手法で11件(27%) |
| 仕込んだ不具合6件の検出 | 4件(67%) | 仕様から生成AIが直接作ったテストでは検出なし |
加えて、仕込んでいなかった潜在的な不具合も3件見つかりました。ただし、いずれもNTTのサンプルアプリでの予備的な試験で、実際の大規模システムでの効果はこれから確かめる段階です。
今後の予定と企業への意味
商用化の時期は示されていません。NTTは実際の開発・保守案件への適用や、対応するシステムの種類・言語の拡大を進め、11月18日から25日の「NTT R&D FORUM 2026」で展示するとしています(NTT(外部サイトが新しいタブで開きます))。
企業にとっての意味
古い基幹システムの刷新や保守に生成AIを使うには、まず設計書・コード・テストの整合を取ることが前提になります。AIを入れる前の「資産の棚卸し」の重要性を示す発表です。
経営会議で確認したい3つのこと
- 当社の基幹システムで、設計書と実際のコードがどの程度一致しているか把握しているか。
- システムの改修時に、影響範囲の調査とテストにどれだけの工数をかけているか。
- システムの保守や刷新に生成AIを使う計画で、AIに読ませる資料の品質を誰が確認するか。
用語の補足(3語)
- レガシーシステム
- 長年使われ、改修を重ねて複雑になった既存の業務システム。設計書が古いままになっていることが多い。
- トレーサビリティ
- 要求・設計・コード・テストのつながりをたどれる状態。どこを直すと何に影響するかを把握するのに役立つ。
- 検索拡張生成(RAG)
- 生成AIに社内文書などを検索させ、その内容をもとに回答させる方法。元の文書が誤っていると答えも誤りやすい。
根拠資料・出典
一次資料
訂正履歴
訂正はありません。最終更新: 2026年10月26日 15:00
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