未来予測AIと経営

AIエージェントは「同僚」になるか 大手各社の発表から描く2031年までの3つのシナリオと経営の備え

2026年9〜10月、Google Cloud、セールスフォース、OpenAIなどが、長時間の作業をこなし、専用アカウントを持って同僚のように働くAIエージェントを相次いで発表しました。一方で、作り込んだエージェントの多くが放棄されるとの予測や、人による確認を求める利用規則の改定も出ています。これらを手がかりに、2031年までの企業でのAIエージェント活用を3つのシナリオで展望します。

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BSAC5編集部
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まず、これだけ押さえたい

  • 2026年9〜10月、Google Cloud、セールスフォース、OpenAIが同僚型・長時間型のAIエージェントを相次いで発表しました。
  • 各社はエージェントごとのIDや権限、操作記録、人の承認の節目など、管理の仕組みも合わせて示しています。
  • ガートナーは作り込んだエージェントの多くが放棄されると予測し、利用規則でも人による確認が求められています。
  • 2031年に向けては、範囲を区切った「同僚化」が基本シナリオで、権限と確認の設計が分かれ目になります。

経営への示唆編集部の分析

AIエージェントを「同僚」として迎えるには、採用や配属と同じように、担当業務、権限、上司(承認者)、評価方法を決める必要があります。技術の進歩は速いものの、管理の仕組みを整えないまま範囲を広げると、下振れシナリオのような後退を招くおそれがあります。まずは範囲を区切った業務で、成果の測定と操作記録の確認を回す経験を積むことが、将来の業務の組み替えに備える近道です。

夜のオフィスで、明かりのついたモニターが並ぶ無人の机を写したイメージ。人のいない時間も続く作業を象徴する

画像: AI生成のイメージ画像(Codexで作成)。実際の場面ではありません

何が起きているか

2026年9〜10月、主要なAI関連企業が、企業向けのAIエージェント(目標を与えると自ら計画を立てて作業を進めるAI)の新機能を相次いで発表しました。

  • Google Cloud(10月8日):業務向けの「Gemini エージェント」を発表。パソコンを閉じても数時間から数日の作業を続け、専用のアカウントを持つ「コワーカー エージェント」としてチームに加わる。エージェントごとにIDと権限を与え、操作をエージェント名義で記録する(Google Cloud(外部サイトが新しいタブで開きます))
  • セールスフォース(9月):職務別の既製エージェントや、数週間にわたる目標を追い節目で人の承認を挟む「長期型エージェント」、エージェントの常時監視機能などを発表(Salesforce(外部サイトが新しいタブで開きます))
  • OpenAI(9月29日の開発者向けイベント):アプリの画面を操作する機能を備えたエージェント開発の仕組みや、継続的に作業する常駐型のエージェント「Dots」などを発表したと報じられた(InfoQ(外部サイトが新しいタブで開きます))

一方で、慎重な見方や規則づくりも進んでいます。米ガートナーは、ベンダーの技術者が顧客ごとに作り込んだAIエージェントについて、2028年までに企業の70%が放棄すると予測しました(ITmedia エンタープライズ(外部サイトが新しいタブで開きます))。Anthropicは10月8日、人の権利や生活に関わる用途では資格のある人が確認し、AIを使ったことを本人に知らせることを求める利用ポリシーを改めて示しています(Anthropic(外部サイトが新しいタブで開きます))。

見通しの前提

各社の発表に共通するのは、AIを「質問に答える道具」から「仕事を任せる相手」へ位置づけ直す流れです。ただし、どこまで任せられるかは、技術だけでなく、権限の管理、成果の測定、人による確認の設計に左右されます。以下のシナリオは、この点を軸に描いています。

今後どうなるか

以下は事実ではなく、公表情報を踏まえた見通しです。確率は示しません。

基本シナリオ(限定された範囲での「同僚化」):2031年にかけて、多くの企業がAIエージェントを、問い合わせ対応、データ集計、定型的な事務手続きなど範囲を区切った業務に配置します。エージェント用のアカウント管理や操作記録の確認が情報システム部門や内部監査の通常業務となり、重要な判断の前には人が承認する形が標準になります。既製のエージェントを業務に合わせて使う企業が多数派となり、一から作り込む例は大企業や特定業務に限られます。

上振れシナリオ(業務プロセスの組み替え):監視・評価の仕組みが成熟し、エージェントの成果と失敗を数値で把握できるようになります。企業は部門をまたぐ業務の流れそのものを、エージェントが担う前提で作り直し、少人数で多くの業務を回せるようになります。人は目標の設定、例外への対応、最終判断に集中します。

下振れシナリオ(期待の後退と放棄):作り込んだエージェントの改修費がかさむ、誤った処理が顧客トラブルや情報漏えいにつながる、といった事例が相次ぎ、多くの企業が導入を縮小します。規制や取引先の要求で人による確認の負担が重くなり、効率化の効果が打ち消されます。AIの活用は個人の補助ツールの範囲にとどまります。

どのシナリオに近づくかは、各社がエージェントに与える権限と、人が確認する節目をどう設計するかに大きく左右されると考えられます。

予測対象期間

2026年10月〜2031年9月

変化を見極める指標

  • 主要事業者のAIエージェント機能の一般提供の時期と価格
  • 企業でのAIエージェントの本番導入率と継続利用率
  • AIエージェントの誤作動や情報漏えいなどの公表事例
  • 国内外のAI関連の規則・ガイドラインでのAIエージェントの扱い
  • エージェントの監視・評価・監査に関する製品や認証の広がり

前提条件

  • 大手クラウド・業務ソフト事業者が、AIエージェントの機能と管理の仕組みを引き続き強化する
  • AIの利用料が大きく上昇せず、企業が試行を続けられる
  • 人の権利や生活に関わる用途では、人による確認を求める規則が維持される

不確実性(見通しが変わる条件)

各社の発表は機能の紹介であり、提供時期や価格、実際の導入効果は確認できていない部分があります。OpenAIの発表内容は報道に基づくもので、公式の発表資料は確認できていません。AIの性能向上の速さ、規制の動き、重大な事故の有無によって、シナリオの進み方は大きく変わりえます。

経営会議で確認したい3つのこと

  1. AIエージェントに任せる業務の範囲と、人が必ず承認する判断を、業務ごとに決めているか。
  2. エージェント用のアカウントと権限を、人の社員と同じように管理・棚卸しする仕組みはあるか。
  3. エージェントの成果と失敗を数値で把握し、改善や停止を判断する担当者はいるか。

本記事は情報提供を目的としたもので、投資・法務・税務等の個別の助言ではありません。将来の見通しは執筆時点の情報と前提に基づく分析であり、結果を保証するものではありません。具体的な判断にあたっては、専門家にご相談ください。

用語の補足(8語)

AIエージェント
目標を与えると、自ら手順を計画し、ソフトウェアやデータを操作しながら作業を進めるAI。質問に答えるだけの対話型AIより広い範囲の仕事を任せられる。
Google Cloud
米グーグルが企業向けに提供するクラウドサービスの総称。サーバーやデータ分析、AIの機能などをインターネット経由で利用できる。
セールスフォース
米国の業務ソフト大手。顧客管理(CRM)を中心に、営業・マーケティング・顧客サポート向けのクラウドサービスを提供している。
OpenAI
対話型AI「ChatGPT」などを開発する米国のAI企業。企業や開発者向けにAIモデルを利用できるサービスも提供している。
ガートナー
米国のIT分野の調査・助言会社。技術動向や市場の予測を公表し、企業のIT投資の判断材料として広く参照されている。
Anthropic
AIモデル「Claude」を開発する米国のAI企業。AIの安全性の研究を重視していることで知られる。
ベンダー
製品やサービスを販売・提供する事業者。IT分野では、システムやソフトウェアを提供・構築する会社を指すことが多い。
内部監査
社内の独立した部署が、業務や管理の仕組みが規則どおりに適切に運用されているかを点検し、経営陣に報告する活動。
  • AIエージェント
  • AIガバナンス
  • Google Cloud
  • OpenAI
  • セールスフォース
  • 未来予測
  • 業務改革

根拠資料・出典

一次資料

二次報道・参考

訂正履歴

訂正はありません。最終更新: 2026年10月22日 16:00

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